住民税は還付はないが、翌年の納税額が減額される
サラリーマンが年末調整の際に、生命保険控除やイデコ等の控除を受けることによって「所得税」は会社から還付されます。年末調整を行うことによって、確定する税金が所得税のほかにもうひとつあります。それは「住民税」(市町村民税・都道府県民税)です。
所得税と違い、住民税は年末調整をすると払いすぎた税金が返ってくる仕組みとはなっていません。なぜなら、サラリーマンの給与から引かれる(源泉)所得税は本年分の税金であり、住民税は前年の所得によって算出された税金を本年に天引きされるからです。
つまり年末調整をすることによって
所得税 本年分の所得税が確定するため、引かれすぎた所得税は戻ってくる。
住民税 来年に支払う住民税が確定するため、来年の給与から引かれる住民税が減額される。
という仕組みとなっています。このような仕組みになっているため、住民税は還付されるものではなく、翌年の給与から天引きされる税額が減額されるようになっています。お金が返ってくるわけではないため、なかなか気づきにくいかもしれませんね。
厳密にいうとサラリーマンの場合、住民税は6月~翌年5月の期間がサイクルとなるため毎年6月に前年の所得に応じた住民税額に切り替わるようになっています。この時に前年の年末調整でたくさん控除をとっていた場合、住民税もその控除を加味した金額で毎月の給与から天引きされることになります。
住民税の税率は基本10%
住民税の税率は、細かい部分で地域により違う部分はありますが、基本的には都道府県分4%、市区町村分6%、合わせて10%が住民税の所得割の税率になります。所得税の税率は所得に応じて税率が変動する「累進課税」ですが、住民税の場合は、基本一律10%での計算となっています。
年間の所得から、生命保険控除やイデコの控除・扶養控除などを控除した「課税所得」に対して、10%の税率を掛けた金額が納めるべき住民税の税額となります。これはどういうことかと言うと、控除が増えればその10%分だけ住民税が減額されるということです。
控除については、所得税と住民税で控除額が変わってくるものがあります。主なものは下記のとおりです。
住民税の計算の場合は、控除額が少なくなるものがいくつかあります。イデコなどの「小規模企業共済等掛金控除」は所得税・住民税どちらも控除額は同じです。住民税の減税額は生命保険控除であれば最大で70,000円の10%で7,000円、扶養控除では33万円の10%で33,000円の節税となります。
これを所得税の節税と併せて考えると、かなり大きな節税につながることが分かります。以下、所得税率の表です。(引用 国税庁ホームページ)
「累進課税」となっている所得税は、その課税所得によって税率が5%~45%と分けられています。所得税率5%の人は、控除額に対し所得税5%・住民税10%の合わせて15%が節税できる税金の額になります。所得税率20%だと住民税10%を合わせて控除額の30%もの節税となります。
一般的に節税というと、所得税のことだけを考えがちですが、「課税所得」が下がることで住民税も一緒に節税できるため、これらの税金を含めて考えると所得控除が増えることは大きな節税につながります。
ただ、所得控除のために必要のない生命保険に加入するなんてことは本末転倒なので、保険であれば、ほんとうに必要な保険だけを掛けるべきです。ほか扶養控除に入れ忘れていない人はいないか、さらに所得控除を増やすのなら支払った金額全額が控除となるイデコもおすすめです。
イデコ(確定拠出年金)は運用が必要となりますが、所得控除を受けたいだけであれば元本保証の運用先もありますからね。サラリーマンの場合だと、最大で月額掛金23,000円x12月の276,000円も所得控除を増やすことができます。
イデコの仕組み・メリットなどは【節税】イデコ(iDeCo)に入るならSBI証券がおすすめだと言える理由 で説明しています。
サラリーマンの場合、税金の関係は勤め先がすべて処理してくれるので税金の知識がまったくなくても日々すごすことができてしまいます。実際、私もそうでした。保険に入っていても、年末調整の書類の書き方が分からず「メンド臭いからいいやっ」と記入せず会社に提出していました。
これは自分から余分に税金を納める行為であり、あとから「あれっ、税金高いな~」と思っても、自業自得です。所得税を始めとした税制の仕組みは自分から取得していかないとなかなか学べないので、損をしてしまわないよう気を付けたいですね。