働き方改革関連法案の一環として、2019年4月より「労働時間上限規制」「有給休暇の取得義務化」などが施行されました。これらは「働き方改革」の目指す「多様な働き方の実現」に向けての取組です。
しかし、一時的なものかは分かりませんが「働き方改革」の推進によって状況が悪化していることもあるようです。
働き方改革が破壊するものは日々の生活か
先日「クローズアップ現代+」で働き方改革によって残業がなくなり、収入が減少してしまい住宅ローンの返済ができなくなっている人たちの密着取材が放映されました。
内容は月21万円のローンを3人で分担返済していたところ、2人が支払えなくなり1人で21万円を返済することになった例や、年収1400万円の人が残業がなくなり大幅に収入が減って返済が厳しくなるというものがありました。
取材対象者があまり一般的ではないような気がしますが、働き方改革によって残業が少なくなった企業は多いはずです。
住宅ローンの返済が出来なくなるまではいかないものの、毎月の給料が少なくなった家庭は多いのではないでしょうか。
住宅ローンは払えても、日々の出費は抑えないといけなくなります。残業代を前提にした生活をしていた場合は、その残業代が入らなくなるのですから。毎年行っていた家族旅行をやめたり、外食の回数を減らしたりするのでしょう。
そうすると人々の消費活動は抑制されます。旅行に行く人が少なくなればホテル・旅行会社の売上は下がり、外食が減れば飲食産業の売上が下がります。売り上げが下がれば業績の悪化が予想されます。
あれっ、働き方改革って経済的には良くないのかな?
働き方改革によって強制的に労働力の削減される
働き方改革は労働生産性の引き上げを目的のひとつにしています。4月から残業時間の上限がより厳しくなりました。
これは考え方によっては、法律によって労働力を強制的に削減するということになります。
働き方改革を厳格に進めようとすると、労働者の労働時間は確実に減ることになります。労働時間が減ると企業の生産力も併せて減ってくることになると思います。
企業も制度に適応していくので、落ち込みも一時的なものかもしれません。しかし、今まで長年、残業での労働力に頼ってきていた日本の企業が短期間で適応していくようになるとは思えません・・・。
参考記事:残業が多くなるのはなぜか?搾取されていることに気付かないからか?
働き方改革推進で全体の給料は順調に減っている
厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、基本給や残業代などを合わせた1人当たりの現金給与総額(名目賃金)は前年同月比0.1%減でした。マイナスは4カ月連続で物価の影響を加味した実質賃金も1.1%減となっています。
記事内では調査対象企業に給与水準が低い企業が増えたことが影響した、とありますが「働き方改革」の推進によって前倒しで残業を抑制した企業があって、従業員の残業代が減少している影響も大きいのではないのでしょうか。
生活できなくなるのでやっぱり副業せざるをえなくなる?
「働き方改革」によって人々の働き方にゆとりが出てくるのでしょうが、生活のゆとりはなくなってきてしまうのかもしれません。
政府は生活にゆとりがないのなら「副業」すればよいではないか、と言うかもしれません。
しかし、ゆとりを持って働けるようにするために「働き方改革」を進めたのに、そのゆとりを副業での労働に充てて収入を増やすとなると、本末転倒な気がするのは私だけでしょうか?
副業ですからまったく別の仕事なので企業から見たら残業ではないですが、本人的には残業しているようなものですよね。
多様な働き方の実現とは、このような働き方のことを言うんですかね?