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【消費税10%に備えて】国税庁発表の消費税Q&Aを交えて軽減税率制度をおさらいしてみる

2019年10月に施行される「消費税率10%」に向けて国税庁発表の「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」が改訂されています。

増税実施が近づくにつれ、具体的な「問い」が増えてきており改訂回数は5回目となっています。

今回はこのQ&Aを参考にしながら軽減税率制度の仕組みを解説します。

消費税増税

消費税率引き上げに伴う軽減税率制度の仕組み

財務省によると軽減税率制度とは「税制抜本改革法第7条に基づく消費税率引上げに伴う低所得者対策として」実施される制度とされています。

軽減税率の対象となる品目は
〇酒類及び外食を除く飲食料品
〇定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞
となっており、この2種類の品目が税率8%となります。

軽減税率の対象品目(出典 軽減税率制度とは(リーフレット等)|国税庁

食料品に関しては基本的には「食品表示法に規定する食品」が対象となります。しかし、画像のように同じ食料品でも外食や一部の一体資産(景品付きのお菓子など)などは軽減税率の対象から外されています。

オムツ等の「生活必需品」が軽減税率対象ではないのはおかしいと話題になったこともありましたね。今回の軽減税率の対象は上記の通り「飲食料品・新聞」に限定されるため「生活必需品」は対象外となっています。

もし、オムツ等の「生活必需品」を軽減税率の対象に入れようとすると消費税法の改正が必要だということです。

まぁ「法律で決まっちゃったからしょうがない」というような状況です。

軽減税率対象となる飲食料品の範囲は具体的にどのようなものか

同Q&Aに記載されていますが、軽減税率の対象品目となる「食料表示法に規定する食品」とはすべての飲食物のことをいい「医薬品」「医薬部外品」「再生医療等製品」を除いた食品衛生法に規定する「添加物」を含むものとされています。

具体的には

①米穀や野菜・果実などの農産物、食肉や生乳・食用鶏卵などの畜産物、魚類・貝類・海藻類などの水産物
②めん類・パン類・菓子類・調味料・飲料等、その他製造または加工された食品
③添加物(食品衛生法に規定するもの)
④一体資産のうち一定の要件を満たすもの

を指し、ここから酒税法に規定する酒類を除いたものとなります。

外食やアルコール飲料など、一部の条件・商品は軽減税率対象外となるものの、基本的には食べたり飲んだりするものは軽減税率の対象となるという覚え方で良いのではないでしょうか。

そして軽減税率が適用されるかどうかの判定は、事業者が飲食料品を提供する時点で判定されることになっています。

つまり、販売者が飲食料品として販売したのであれば、購入者がどのような目的で購入したとしても軽減税率の対象となるということです。

気になる消費税の軽減税率制度Q&Aをピックアップ

ここからはQ&Aより気になったものを見ていきます。

畜産業として販売している生きた肉用牛の販売、生きた魚の販売等は軽減税率対象となるか?

人の食用となる活魚については対象となる。しかし、肉用牛・食用豚・食鶏等の生きた家畜は販売の時点では「食品」に該当せず、軽減税率の対象とならない。

イナゴも食品表示法に記載がないのでダメなんだって

ノンアルコールビールや甘酒、酒類を原料とした菓子の販売は軽減税率の対象となるか?

酒税法に規定する酒類に該当しないものについては軽減税率の対象となる。

アルコールが1%未満であれば飲料品扱いになります

いちご狩り・梨狩りなどの味覚狩りの入園料は軽減税率の対象となるか?

入園料は軽減税率の対象とならない。しかし、収穫した果物について別途対価を徴収している場合、その果物の販売については軽減税率の対象となる。

自動販売機のジュース・パン・お菓子などは軽減税率の対象となるか

「飲食料品の譲渡」に該当するため軽減税率の対象となる。

自販機が値上げしたら便乗値上げってことか

出前・ケータリング・出張料理は軽減税率の対象となるか

出前は「食料品の譲渡」に該当するため対象となる。ケータリング・出張料理は「役務を伴う」とされ軽減税率の対象となりません。

インターネットを通じて配信する電子版の新聞は軽減税率の対象となるか?

「電気通信利用役務の提供」に該当するため軽減税率の対象となりません。

ほかにもQ&Aがありますので気になった方は下記リンクから参照できます。

消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)|国税庁

軽減税率は本当に低所得者対策になっているのか?

軽減税率制度は消費税増税に際しての「低所得者対策」として導入される訳ですが、実際のところ低所得者の人が有利になるのでしょうか?

例えば、高所得者Aさんと低所得者Bさんがいたとして毎月の食事代を計算してみましょう。

食費の比較

仮にAさんの食費が毎回外食・Bさんの食費が毎回自炊の場合、軽減税率による影響はこのようになります。

  負担する消費税 軽減税率による減税額
Aさん 20,000円(10%) 0円
Bさん 4,000円(8%) 1,000円

Aさんは外食のため、食費のすべてに軽減税率が適用されなくなり10%での計算となります。反対にBさんは自炊であれば基本的に軽減税率が適用される8%の負担となり、5万円x2%=1,000円分の負担が軽減されます。

では、Aさんも高級な食材を購入して自炊した場合はどうなるのでしょうか?

  負担する消費税 軽減税率による減税額
Aさん 16,000円(8%) 4,000円
Bさん 4,000円(8%) 1,000円

高所得であっても軽減税率対象である飲食料品を購入するのであれば消費税負担は8%となります。この場合、当然ですが支払額が多い家庭ほど軽減税率によって負担が減る消費税額は多くなります。

このように計算してみるとなんだか低所得者対策としては微妙な制度に思えてきます。金額ではなく割合で考えたりするとまた変わってくるのでしょうけど。

ただ、軽減税率適用外である食費以外の面では高所得者の方が消費額が多くなるでしょうから全体でみると高所得者の方が負担する消費税額は確実に増えるのだろうと思います。