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【マグロ漁師】初競りで史上最高値が付いた時に所得税を節税できる方法とは【平均課税制度】

収入が大きく変動しやすい職業についている人は、要件を満たせば「平均課税制度」を適用し、納付する所得税額を抑えることができます。

後で説明しますが、適用できる職業は漁業やアーティストの方が対象になってくるようなものです。一般の人はあまり使うことのない制度ですが、山本さんを見てこの制度を思い出したので、説明してみます。

変動所得・臨時所得の平均課税という制度がある

先日「マグロにかけた男たち」を見ました。毎年定期的に放映されているドキュメンタリー番組で青森・大間のマグロ漁師の生き様を映した見ごたえのある番組です。

私は中でも「悲運の漁師」と呼ばれている山本さんのシーンが大好きです。60歳を超えても一人でマグロに立ち向かう姿を見ると、胸が熱くなってきます。山本さんの息子もまた漁師を目指して修行しており、家族の物語としても引き込まれてしまいます。

悲運の漁師 山本秀勝  (出典 テレビ朝日

漁師の取り分が多く、年収に波がある職業

そんなマグロ漁師といえば、正月のマグロの初競りが有名です。競り場も2019年からは築地市場から豊洲市場へと変わりましたね。初日の相場は「ご祝儀相場」と呼ばれ、マグロを含めたすべての商品が、いつもの値段よりも高値で取引されることが慣習になっているそうです。

年によっては1億円を超えるような価格になることも珍しくなく、2019年は3億円を超える史上最高値となりました。そうなってくると気になるのが税金がいくらかかってくるのかということです。

所得税の税率は累進税率となっており、所得が多ければ多いほど税率が高くなる仕組みとなっています。

所得税の税率表

課税所得が4,000万円を超えると控除額はあるものの所得税率は45%となります。住民税が約10%ですから合わせると半分近くを税金として納める結果になります。住民税の計算についてはこちらでもう少し詳しく説明しています。
関連記事:年末調整で節税できるのは所得税だけじゃないっ!【住民税】

平均課税制度とは

平均課税制度とは収入が大きく変動しやすい業種(変動所得)や、一時的に収入が増えた人(臨時所得)が要件を満たせば、通常よりも低い所得税率で計算することができ、所得税の負担を軽減できるという制度です。
参考:【確定申告書等作成コーナー】-変動所得・臨時所得の平均課税

漁師の場合は漁獲となり、変動所得となります。変動所得とは、漁獲やのりの採取による所得、はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝、真珠、真珠貝の養殖による所得、印税や原稿料、作曲料などによる所得をいいます。

平均課税制度を使用する要件は下記のとおりです。

  • 前々年、前年に変動所得がなかった方や、前々年、前年に変動所得があってもその合計額の2分の1の金額が本年の変動所得の金額に満たない方については、本年の変動所得の金額と本年の臨時所得の金額との合計額が本年の総所得金額の20%以上であること

  • 前々年、前年に変動所得があって、その合計額の2分の1の金額が本年の変動所得の金額以上の方については、本年の臨時所得の金額が本年の総所得金額の20%以上であること

総所得のうち変動所得が一定割合以上あるかどうか、ということです。

所得税はどのくらい変わるのか

例:本年の所得が1億円、前年・前々年の所得がそれぞれ1,000万円の場合

※例題として簡略化し計算するため、所得=課税所得として計算します。本来は所得から最低でも基礎控除は引けるため、所得=課税所得はありえません。復興特別所得税も省略します。

まず、通常通りに計算すると課税所得が1億円の場合、所得税額は
1億円x45%-4,796,000円=40,204,000円となります。所得税の税率表に沿って計算すると約4,000万円の所得税が掛かってくることになります。

平均課税制度を適用するとこのような順番で計算していくこととなります。

平均課税対象金額
1億円-(1,000万円+1,000万円)÷2=9,000万円

調整所得金額
1億円-(9,000万円x4/5)=2,800万円

特別所得金額
1億円-2,800万円=7,200万円

調整所得金額に対する税額
2,800万円x40%-2,796,000円=8,404,000円

平均税率
8,404,000円÷2,800万円=0.3(30%)

特別所得金額に対する税額
7,200万円x30%=2,160万円

税額の計
8,404,000円+2,160万円=30,004,000円

平均課税制度を適用することにより、40,204,000円-30,004,000円=10,200,000円も所得税が軽減される結果となりました。これらの計算は確定申告書に添付する「平均課税の計算書」の中で計算することになります。

今回は所得のすべてが「変動所得」と仮定して計算しましたが、変動所得以外の所得も含まれている場合はそれぞれ区分経理が必要となります。平均課税制度が適用できるのは変動所得のみとなるので、それ以外の所得と分けなければなりません。

売上は簡単に分けられると思いますが、経費については明確にどちらの経費かを決めることは難しいと思います。税理士等に相談するべきです。

平均課税を使えるのは変動所得だけ

制度を知っているか知らないかで、大きな差が出来てしまいます。私はサラリーマンなので恐らくこの制度にお世話になることはないと思います。漁師さんや作家さんなど浮き沈みの激しい職業の方にだけ認められている特殊な制度です。

もちろん「悲運の漁師」である山本さんもマグロがたくさん獲れた年にはこの制度を使えば大きく節税することができると思います。山本さんは不器用な人だと思うので漁師一筋、変動所得だけの漁師さんでしょうし、計算も簡単です。変動所得以外の所得はないでしょうからね・・・。 

マグロ漁師 山本さんのグッズ

山本さん・・・、グッズの販売はたぶん変動所得とならないと思うので、計算頑張ってくださいね。これからも応援しています。