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【就職氷河期世代】アラフォーがクライシスしている

「アラフォー・クライシス 「不遇の世代」にせまる危機」によると、いつの時代にも不遇な時代であった世代が存在するようです。本書を読んで感じたことなどをまとめてみました。

谷間にスッポリ抜け落ちた世代

「就職氷河期」とはバブル崩壊後、企業が業績の悪化により新規採用を抑制し始めた時期のことを指します。1974年~1983年の間に生まれた世代は「就職氷河期世代」と呼ばれるそうです。(諸説あり)

就職氷河期の有効求人倍率

この世代の人たちが高校・専門学校・大学を卒業後に就職活動を行っていたタイミングは、バブル崩壊・派遣労働の自由化など働き方の仕組みが大きく変わっていった時期でもあります。令和になったいま、年齢にすると40歳前後。いわゆるアラフォーの方々がこの世代に該当します。

少し前の世代の人たちはバブル景気の最中に就職活動を終え、人手不足による売り手市場だったこともあり、比較的容易に就職活動を行っていました。そういった先輩の背中を見て、容易に就職できると考えていた「この世代」の人々は不景気による企業の採用枠の激減で厳しい就職活動を強いられることになりました。

求人数が減ったことによって正社員での採用のパイが少なくなり、派遣社員・契約社員・アルバイトで働くことになってしまった人が続出しました。一時的に非正規雇用であったとしても、経験を積みゆくゆくは正社員で採用されることを目標として。

厳しかったのは就職活動だけではありません。給与が少なくなり、少ない所得での生活を余儀なくされるのは非正規雇用の人だけではありませんでした。正規雇用となった人たちも少し上の世代「バブル期就職の世代」がいることにより、他の世代と比べて昇進・昇格が遅れています。バブル期の人手不足により企業が大量採用した結果、上の世代がダブついている状況になってしまったためです。

これらの状況はたまたま就職活動をするタイミングが悪かったせいなのか、それとも本人の努力不足の結果なのか、原因は一体どこにあるのでしょうか?

時代のせいか、個人の問題か、国の制度の問題か、何が問題であったのかを「アラフォー・クライシス 「不遇の世代」にせまる危機」では各種統計・取材を通して解説しています。 

アラフォー・クライシス: 「不遇の世代」に迫る危機

アラフォー・クライシス: 「不遇の世代」に迫る危機

  • 作者: NHK「クローズアップ現代+」取材班
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/02/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

目次・感想など

目次
第1章 不遇の連鎖から抜け出せない アラフォー・クライシス仕事編
第2章 経済力のある女性と結婚したい アラフォー・クライシス結婚編
第3章 他人事ではない「7040問題」 アラフォー・クライシス家族編
第4章 「何の対策もしなかった社会を恨みます」 アラフォー・クライシス反響編
第5章 「希望」は与えられるものではなく作るもの アラフォー・クライシス救済・対策編

この5章にわたって書かれた書籍は、NHK「クローズアップ現代+」で放映された「アラフォー・クライシス」をもとに放映の中で紹介しきれなった取材内容などを追加し、まとめられたものとなっています。

そもそも自分がどのような職業に就くかは本人の自由意志であり、希望の職業に就けるかどうかも基本的には自身の問題が大きいとは思います。ただ、景気のタイミングや雇用制度の改正などによる「雇用の大きな転換点」、自身の問題ではなく急な外的要因に対応しきれなかったことによる問題に思えました。ルールを急に変えられ振り落とされてしまったと言うか・・・。

そしてその状況を見た「下の世代」の人たちは、ルールが変わったことを理解し、厳しい状況に対応していった。「就職氷河期世代」の人だけがポッカリと取り残されてしまったという印象を受けます。

そしてそれを救済する政府の制度からも取り残されてしまっているという現状もあります。

「~政府が取り上げてくれた時には若くないんですよ、もう。自分たちが言った時は30でも、実際に「若い人育てよう」ってなった時には38になってるみたいな。だから、すごい時差がある。で、婚活でも何でも、あたしらがホントはしてほしかったけどしてもらえなかった援助を、ゆとりとかで卒業した人の時にやっとやり出すみたいな。私らはその支援を受けられないままどんどん年だけ取っていって、ちょっと下の人らぐらいまでがぎりぎり間に合ってるな、みたいな」
引用 アラフォー・クライシス: 「不遇の世代」に迫る危機

第二新卒なんかもそうかもしれませんね。雇用のミスマッチなどで新卒後に離職した若手の転職者を採用する、というニーズが高まっています。「就職氷河期世代」が若手の頃には第二新卒という考え方はあまり広まっていなかったように思います。

私も世代でいうと「就職氷河期世代」にあたります。当時、大学で仲が良かった友人の間では就職活動の結果、採用がゼロだった人や卒業後に非正規雇用で働くような人はいませんでした。就職活動自体も最初から有名企業を諦めていたせいか、まったく手応えがない、という所まではひどくなかったように思います。その後も転職を数回していますが、入社してからブラックに気づくということはあったものの、転職活動に行き詰ったということもありませんでした。
参考記事:私の職歴 まとめ

ただ、これは自分の周りがたまたまそうであっただけで、世の中全体でみると全然そうではなかったことを本書ではデータで示しています。そういった状況の中「就職氷河期世代」の特徴として「自己肯定感が低い」ことがあるそうです。不採用が続く就職活動・いつ切られるかもわからない非正規雇用を経験していることが原因のひとつです。

そして、「就職氷河期世代」の問題はほかの「世代」にも影響があります。低所得によって結婚を諦める人が増え少子化が加速する、消費活動の減少、目次にもある4070問題など。一つの「世代」だけで済む問題ではなくなっています。

まとめ

本書でも「氷河期世代が直面する課題は、個々のレベルをこえて、社会全体が向き合うべき重い問題だ」と書かれています。先日、政府はバブル崩壊後の「就職氷河期世代」で、非正規社員など安定した職に就けていない人を対象に、集中的に支援する方針を示しました。

これによって状況が良くなる人が増えればいいと思いますが、もしかしたらこの制度でまた「雇用の仕組み」が変わり、影響を受ける世代が出てくるのかもしれません。変わっていく世の中の仕組みに適応できる人はいいですが、そうでない人もいると思います。

すべての人が報われる社会は不可能だと思うので、時代の流れに取り残されないように自分でアンテナを張って自分で守るようにするしかないのかな、と思います。