日本は少子高齢化問題がすいぶん前から言われ続けています。少子化問題はゆるやかに進行していくため、なかなか当事者意識が生まれないとういこともあるのかもしれませんね。
政府もいろいろと対策を重ねてはいますが、どんどん進み続けており現状では「超少子高齢化」とも言われる状況となっています。
世界で経験したことのない超高齢化社会を迎えるにあたって
2018年に統計局がまとめた統計によると2018年時点での高齢者人口の割合が総人口の28.1%となり、過去最高割合となったそうです。
参考記事:統計局ホームページ/平成30年/統計トピックスNo.113 統計からみた我が国の高齢者−「敬老の日」にちなんで−/1.高齢者の人口
2040年までの予測がされています。このデータは現在の人口比率をもとに作成されているため、確度の高いものになります。また高齢者の割合が増加していることと反対に出生児数は年々減少傾向となっています。
定年が延長されるはずですよね、これだけ高齢者が増えていくのですから。単純に考えて今のままで社会がまわっていくとは思えませんし。
関連記事:定年を70歳に延長しなくても高齢者の就業者数が増加していてゾッとした
無子はすでに起こっている
「無子高齢化」と聞いて何を思うでしょうか?まだまだ先の話だと思いますか?自分が死んでからの世界の話だと思いますか?
実際、奈良県のある地域では単年度でしたが出生数がゼロの地域が出てきています。高齢者が増加し、子供が増えていかない「無子高齢化」が元々人口がそれほど多くないような地域では起こり始めています。これは地方だけで起こるような話でしょうか?
少子化の大きな原因は、下がり続ける「合計特殊出生率」です。2017年の合計特殊出生率は1.43でした。人口を一定水準で維持するために必要な合計特殊出生率は日本では2.07とされています。これに加えて以前から進んでいる少子化の影響により、出産適齢期の人口も減り続けることで、より急速に日本の人口は減少していくことが予想されています。
このまま人口が減っていくと何が起こるのか?なぜこんなに少子化が進んでしまったのか?という問いに「無子高齢化(出生数ゼロの恐怖)」は答えてくれています。
目次
目次
第1章 小産多死ニッポン人口が減ると何が起こる?
第2章 なぜこんなにも少子化が進むのか
第3章 少子化対策失敗の歴史
第4章 第三次ベビーブームは来なかった「捨てられた世代」の不幸と日本の不運
第5章 若者への就労支援と貧困対策こそ少子化対策である
<対談>それでも未来をつくっていくために
世代間の当事者意識
日本の少子化が急激に進んだ理由は様々なことが複合的に重なって起きています。国が定めた政策などの政治的な問題、「就職氷河期」などの雇用問題による所得の低下、個人の結婚観の変化による思想の多様化などがありました。
中でも私が気になった部分は世代間の当事者意識の乖離です。
かつては特別養護老人ホームを設置する時も、同じような反対があったというが、介護保険導入以降、高齢者施設への反対はすっかり減ってしまったという。それは「みなさん、自分が利用するかもしれないと考えているからではないでしょうか。保育園は子育てが終わった世代には、自分たちには関係ない他人事なんですね」と職員が話していた
引用 無子高齢化 出生数ゼロの恐怖
子供の数が減ると、将来的に日本の労働人口が減っていく、労働人口が減れば将来の自分たちを支えてくれるであろう現役世代がいなくなってしまう・・・。理屈では分かっていても子育てが終わり切った世代と今まさに出産・子育てをしている世代とではどうしても問題意識の差が出来てしまいます。
子育てが終わった世代は、後に介護問題が控えているのでそちらに意識がいってしまうのも仕方のないことだと思います。置かれている立場で優先すべき問題が変わるのは当たり前の話です。そして、高齢化によって高齢者の数が多くなり、出生数問題よりも介護問題の方が優先されてしまう・・・。民主主義ですから、多数決の理論です。
根が深い問題ですよね。仮に今から出生数問題を解決しようとして子供の数を増やせたとしても、成果が現れるのはその子供たちが成人して労働人口に加わる数十年後の話です。
感想など
私はこの本を読んで「正直ムリゲーじゃね?」と思ってしまいました。個人で対策できることといえば、将来困らないように資産を蓄えておくことぐらいしか思いつきません。今までの積み重ねで少子高齢化は進んできました。改善するにも気の遠くなるような積み重ねが必要となってきます。
どうしても政治の責任にしてしまいたくなりますが、この考えも「他人事」なんでしょうか・・・。